

「どうするAS400」
第4回:AS400を延命すると決めたら・・・

はじめに
前回のブログでは、AS400を置き換えるのか、延命するのかについて考えました。本日は「延命する」と決めた場合に考えたいこと、実施したいことを中心に述べていきたいと思います。

第5章 : AS400の仕組みをできるだけ使い続けるための技術
AS400(IBM iシリーズ)は多くの企業で重要な役割を果たしていますが、最新技術を取り入れるための対応が必要です。ここでは、AS400のインフラを維持しつつ最新技術を取り入れる方法について説明します。
ハイブリッドアプローチ
ハイブリッドアプローチは、既存のAS400システムを維持しながら新しいテクノロジーを統合する方法です。このアプローチでは、AS400の堅牢なバックエンドを活用し、フロントエンドには最新の技術を導入します。例えば、ウェブベースのインターフェースやモバイルアプリケーションを導入することで、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。
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具体例: 例えば小売業においては、AS400をバックエンドシステムとして維持しつつ、モバイルPOSシステムを導入することが考えられます。これにより、店舗スタッフがリアルタイムでAS400の在庫情報を確認し、顧客サービスを向上させる可能性を秘めています。
仮想化技術の利用
仮想化技術を利用することで、AS400の本体への負荷を減らし、より柔軟なインフラ運用が可能になります。仮想化により、ハードウェアの障害リスクを低減し、システムの可用性を向上させることができます。また、仮想化された環境では、リソースの最適化が容易になり、運用コストの削減も期待できます。
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具体例: 旧式なサーバーで運用しているAS400本体を、データセンターのサーバー上に統合、動作させることで、ハードウェア故障のリスクを減らし、かつAS400の運用コストを減らすことが期待できます。
※仮想化技術とは
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仮想化技術は、複数の物理リソースを統合させたり、分散させたりすることができる機能群を持たせて、サーバーのリソースを有効活用できるものです。これにより、単一の物理サーバー上で複数の独立したOSやアプリケーションを同時に実行できます。仮想化の利点には、リソースの効率的な利用、コスト削減、柔軟な運用管理などがあります。
APIとマイクロサービスの導入
AS400の機能をAPIやマイクロサービスとして提供することで、他のシステムとの統合が容易になります。これにより、新しいアプリケーションやサービスと連携しやすくなり、システムの柔軟性が向上します。
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具体例 : AS400の在庫管理機能をAPI化し、ERPシステムと連携させます。これにより、在庫情報のリアルタイム共有が可能となり、生産計画の精度の向上が期待できます。
クラウドへの移行
AS400をクラウド上のインフラで動作させることは様々なメリットを産みます。物理サーバーの管理負担コストの削減、スケーラビリティの向上、データのセキュリティ強化、リモートアクセスが容易になるなどです。また、最新技術との統合がしやすく、業務プロセスの自動化や効率化が進みます。クラウドの災害復旧機能により、ビジネスの継続性も確保されます。
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具体例 : AS400をクラウド上のサーバーに移行し、各拠点からのアクセス性を高められます。これにより在宅勤務や遠隔勤務を容易にし、働き方の自由度を高めることができます。
専門家のサポート
これらの取り組みを成功させるためには、専門家のサポートが欠かせません。クラウドベンダーやSIベンダーの力を借りて、最適なソリューションを見つけ、スムーズな移行を実現することが重要です。

第 5 章 : 最新のAS400延命ソリューション
現在、AS400(IBM iシリーズ)を延命させるための最新ソリューションが多く提供されています。本章では、これらのソリューションを紹介し、それぞれの特徴やメリット、ベンダー選定のポイントについて詳しく解説します。
1. クラウドの活用
概要 : クラウドサービスを利用することで、AS400のインフラをクラウド上に移行し、物理的なサーバーの管理負担を軽減できます。これにより、リソースの柔軟なスケーリングや高可用性が実現します。
具体的なツール :
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IBM Cloud: IBMが提供するクラウドサービスは、AS400のワークロードをクラウドに移行し、高度なセキュリティと信頼性を提供します。
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Microsoft Azure : Azure上でAS400のワークロードを仮想化し、スケーラビリティと災害復旧機能を強化します。
効果 : クラウドへの移行により、インフラ管理の手間が削減され、システムのスケーラビリティと可用性が向上します。
キーワード: クラウド、IBM Cloud、Microsoft Azure、AS400クラウド移行
2. モダナイゼーションツール
概要 : モダナイゼーションツールを使用することで、AS400のアプリケーションやデータを最新の技術に対応させることができます。これには、コードの自動変換や、データベースのアップグレードが含まれます。
具体的なツール :
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Fresche Solutions : AS400のアプリケーションをモダナイズするためのツールとサービスを提供。コード変換やデータベースの移行を支援します。
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LANSA: アプリケーションのモダナイゼーションを支援するツールで、最新のウェブ技術やモバイル対応を実現します。
効果: アプリケーションの性能向上とユーザーエクスペリエンスの改善が期待できます。また、モダナイズされたシステムは将来の技術変化にも対応しやすくなります。
キーワード : モダナイゼーション、Fresche Solutions、LANSA、コード変換
3. 仮想化技術
概要: 仮想化技術を利用して、AS400のシステムを仮想マシン上で運用することで、物理サーバーの依存度を低減します。これにより、リソースの効率的な利用が可能となり、システムの可用性も向上します。
具体的なツール :
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VMware : 仮想化プラットフォームを提供し、AS400のシステムを仮想環境で運用することで、リソースの柔軟な管理が可能です。
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PowerVM : IBMが提供する仮想化技術で、AS400を含むIBM iシリーズのシステムを効率的に仮想化できます。
効果 : 仮想化により、物理サーバーの管理負担が軽減され、システムの高可用性とリソース効率が向上します。
キーワード: 仮想化技術、VMware、PowerVM、AS400仮想化
AS400の延命には、クラウド活用、モダナイゼーションツール、仮想化技術、そしてサードパーティーベンダーのサポートが有効です。これらの最新ソリューションを活用することで、システムの寿命を延ばしつつ、業務効率を向上させることが可能です。当社ではAS400における様々なお客様課題を解決してきました。お客様のお役に立てる知見と経験がありますので、お気軽にお問い合わせください。
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