「どうするAS400」
第3回:延命するのか?置き換えるのか?を判断する
はじめに
第1回のブログで学んだAS400を使い続けることのメリットとデメリットを、前回のブログでは、AS400を置き換えることのメリットデメリットを学びました。ここまで来て、結局どうしたらよいのだろうか?という悩みをお持ちではないでしょうか。本日は、何を基準に、AS400を残すのか、リプレイスするのか考えてみたいと思います。
第4章 : 何を基準に、AS400を残すべきなのか、リプレイスするべきなのか
AS400(IBM iシリーズ)を残すべきか、それともリプレイスするべきかを判断するためには、いくつかの基準と判断材料を慎重に考慮する必要があります。本章では、コスト、ビジネス要件、長期的な戦略を考慮に入れた決定プロセスについて説明します。
判断基準
1. コスト リプレイスと延命の両方についてコストを比較することが重要です。リプレイスの初期費用、移行コスト、トレーニング費用などを考慮し、AS400の延命にかかる運用コストや保守費用と比較します。
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具体例 : ハードウェアの更新費用又はクラウド移行費用、ソフトウェアライセンス費用、サポート契約費用、従業員の再教育費用。
2. ビジネス要件 現在および将来のビジネス要件に照らして、AS400がどの程度適合するかを評価します。新しいビジネスプロセスや技術に対応する能力、システムの柔軟性、スケーラビリティを考慮します。つまり、これまでの業務を変える必要がなければ、ビジネス要件は変わらずですが、これを機に無駄な業務を変更するなどを考えるのであればビジネス要件は変化することになります。
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具体例 : 新しいビジネスプロセスの導入、ムダな業務の排除や変更、モバイルアクセスやクラウド連携の必要性、データ分析やAIの活用。
3. システムの老朽化とサポートの可用性 AS400の現行システムがどの程度老朽化しているか、そしてサポートがどれだけ提供され続けるかを評価します。特に、ハードウェアやソフトウェアの寿命、サポート終了日を確認します。老朽化の度合いだけでなく、アプリケーション上の問題点も考えられるとベターです。ただし、こういった作業はユーザー企業自身だけでは難しく、ベンダーの協力があるほうが望ましいです。
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具体例 : ベンダーサポートの終了、予備パーツの入手困難、技術者の確保が難しい、アプリケーションの不具合など
4. セキュリティとコンプライアンス セキュリティリスクや法規制の遵守についても重要な判断材料です。古いシステムはセキュリティホールが多く、最新のセキュリティ対策を適用するのが難しい場合があります。特にオンライン化、ネットワーク化が望まれる現代のシステム構成においては重要な事項おtなります。
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具体例 : データ保護規制(GDPR、CCPAなど)への対応、サイバー攻撃への脆弱性、コンプライアンス要件の遵守。
5. 長期的な戦略 企業の長期的なIT戦略と整合性を持たせることが重要です。例えば、デジタルトランスフォーメーションの一環としてのシステム更新や、将来の技術導入計画にどの程度適合するかを評価します。
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具体例 : デジタルトランスフォーメーション計画、クラウドファースト戦略、新技術(AI、IoT)の導入計画。
決定プロセス
1. 現状分析 AS400の現状を詳細に分析し、システムの強みと弱みを把握します。業務プロセス、システム依存関係、ユーザーの満足度などを評価します。
2. コストベネフィット分析 リプレイスと延命のコストベネフィットを比較し、どちらが企業にとって最も有益かを定量的に評価します。
3. ステークホルダーの意見収集 経営層、IT部門、現場ユーザーなど、主要なステークホルダーからの意見を収集し、決定プロセスに反映させます。
4. ロードマップの作成 決定した方針に基づき、具体的な実行計画(ロードマップ)を作成します。これには、タイムライン、リソース配分、リスク管理計画などが含まれます。
結論
AS400を残すべきかリプレイスするべきかの決定は、単なる技術的な問題ではなく、経営戦略、コスト、ビジネス要件など、多角的な視点からの評価が必要です。慎重に検討し、最も適切な選択を行うことで、企業の競争力を維持し、業務効率の向上を図ることができます。しかし、これらのことを全てユーザー企業で考えることは非常に難しいです。ITコンサルやITベンダーの力を借りることが望ましいと考えます。
いかがでしたでしょうか。AS400を残すか、置き換えるかは、単なる技術の枠を超えた経営戦略の一部といえます。古い技術=「悪」、新しい技術=「良」ではありません。経営視点で「自社の戦略に合っている」 or 「合っていない」かが問題です。当社では、そういったアセスメントを含めたコンサルティングサービスも実施しています。お悩みがあればお気軽にお声がけください。
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