

デジタル普及で出てきたお困りごと
第5回:やってみたけど続かない?―小さな成功を積み上げる設計法

前回は「現場に使われないシステムとは何か?」について述べました。そこでは、現場の巻きこみが重要ということをご理解いただけたかと思います。今回はシステム導入のプロジェクトが単発となり、なかなか継続発展できないことの原因や対策について述べていきます。

第5章: やってみたけど続かない?―小さな成功を積み上げる設計法
なぜ、うまくいかないシステムを導入してしまうのか
「まずは試しに一部だけ導入してみたんですが…そのまま止まってしまいました」
「トライアルはうまくいったように見えたのに、本番運用には至りませんでした」
このように、“やってみたけれど続かない”という声は、タイの現場でも少なくありません。
デジタル施策に対するモチベーションはあるのに、なぜ継続しないのでしょうか?
そこには、スタート時点での設計と関わり方に、いくつかの重要な落とし穴があります。
トライアルだけで終わる3つの典型パターン
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「導入=ゴール」になってしまっている
最初の段階で「導入」が目的になってしまい、その後の“運用フェーズ”まで計画されていないケース。誰が使うのか、どう評価するのかが曖昧なまま進んでしまい、気づけば立ち消えに。
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関係者が限定的すぎる
トライアルに関わるのがごく一部のスタッフだけで、他の部署や管理層に情報が共有されないまま終わるケース。現場では「うちには関係ない」となり、スケールできなくなります。
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トライアル結果を“成功”と捉えられない
小さな成果が見えていたにも関わらず、「完璧じゃないから」と本番移行が見送られることも。“部分的な改善”を前向きに評価できない組織文化が、継続の足かせになります。
成功している企業は「小さな成果」に価値を置いている
逆に、うまく継続につなげている企業に共通しているのは、「いきなり大きな効果を求めない」「小さな成功体験を積み重ねていく」というスタンスです。
たとえば、ある工場では「設備点検の紙帳票を写真で撮ってLINEで共有する」だけの仕組みからスタートしました。
最初は“デジタル化”とは言えないほど簡易な方法でしたが、
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手書き→写真化により記録が残りやすくなった
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情報がリアルタイムで共有されるようになった
などの効果が現れました。
これをきっかけに、次の段階として点検アプリの導入→データ自動集計へと、段階的にステップアップしていったのです。
続けるために必要なのは「設計」と「伴走者」
では、こうした小さな成功を積み上げるには、何が必要なのでしょうか?
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ゴールの再定義:「完璧な自動化」ではなく「手応えある改善」
最初から理想を目指すと、現場がついていけません。
「1日30分の業務が10分減った」「紙の保管が不要になった」など、現場が実感できるメリットを指標にしましょう。
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改善サイクルの仕組み化
トライアルの結果を共有し、課題を洗い出し、改善して再挑戦する――このサイクルを回す仕組みをつくることで、継続的な運用が可能になります。
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一緒に走るパートナーの存在
システム導入だけでなく、「導入後の試行錯誤」にも付き合ってくれる外部パートナーがいるかどうかは非常に重要です。
私たちも、単なる納品で終わらず、「まずは一歩」から、使われる仕組みに育てるところまでを一緒に支援しています。
日タイ混成チームだからできる“現場に寄り添う伴走支援”
当社では、タイ現地の製造現場の文化や働き方を理解したタイ人スタッフと、日本の業務プロセスや品質要求を理解する日本人スタッフが協力し、段階的な改善と運用支援を行っています。
「大きな投資ではなく、小さな改善から」――この方針のもと、現場に合ったデジタル化を現実的に進められる体制があることが、私たちの強みです。
継続できる仕組みがあれば、DXは怖くない
継続のカギは「最初の一歩の踏み出し方」と「誰と一緒に進めるか」。
無理のない形で、まずは一部から始め、成功体験を積み重ねていくことで、社内に「うまくいくかも」という空気が生まれます。
“トライアルで終わる”から“続けたくなる”へ。
それを実現するための仕組みと伴走体制を整えることが、デジタル化を成功に導く近道です。
いかがでしたでしょうか?小さな成功をコツコツ積み上げると聞いて、日本が誇る「カイゼン活動」を思い浮かべた人も多いかと思います。そうなのです、システム導入にもカイゼン活動の考え方は通用するのです。そう思えば、ITに対する苦手意識も払拭できるのはないでしょうか。
次回は最終章として、これまでの話をまとめていきます。
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