

デジタル普及で出てきたお困りごと
第2回:紙とExcelがなくならない本当の理由

前回の記事では、システム導入をしてもうまく効果を出せないことの原因とその対応について触れていきました。今回は、もう少し具体的なお困りごととその対応について考えていきたいと思います。

第2章: 紙とExcelがなくならない本当の理由
システム化しているのに紙が増える?
「ペーパーレス化を目指しているのに、なぜか紙が増えている」
「立派なシステムを入れたのに、現場は相変わらずExcel」
…こうした声を、私たちはタイの製造業のお客様から日常的に耳にします。
実はこの現象、タイだけでなく日本国内でもよく見られる“あるある”です。
便利なはずのシステムが導入されたのに、なぜ現場は紙やExcelに戻ってしまうのか――その理由を紐解いていきましょう。
現場には“紙とExcel”が最適だったという現実
まず、前提として知っておきたいのは、紙とExcelが「悪」ではないということです。現場にとっては、紙とペン、Excelのように「自由に書ける・直せる・複製できる」ツールの方が、実は柔軟で速く、使い勝手が良いのです。
特にタイの工場では、作業者がITに詳しくないことも多く、「とにかく早く終わらせたい」という思いから、使い慣れた紙やExcelを選ぶのは自然なことです。
システム導入前に見落としがちな3つのポイント
紙やExcelに戻ってしまう背景には、システム導入時の“運用設計の甘さ”があります。よくある見落としは以下の3つです。
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端末やネットワーク環境の未整備
「タブレットで現場入力を」と言っても、現場にWi-Fiがない、充電場所が足りないなど、物理的なハードルが多くあります。
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現場目線のUI(使いやすさ)が不足
管理部門には使いやすくても、作業者には複雑だったり、項目が多すぎて手間が増えるケースも。結果として「紙で書いて、あとで誰かが入力した方が早い」となってしまいます。
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運用ルールが曖昧
誰が入力するのか?いつ?どのレベルの精度で?といった業務フローとの整合性が取れていないと、システムが形骸化してしまいます。
「現場ファースト」の視点で考えると見えてくること
紙とExcelが残るのは、単なる“現場の抵抗”ではありません。
むしろ、システムが現場にフィットしていないサインです。
現場ファーストで考えると、以下のようなアプローチが効果的です。
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紙→Excel→システムと段階的に移行する
最初から完全なペーパーレスを目指すのではなく、まずは紙の内容をExcelにまとめ、徐々に入力箇所を絞ってシステムに移行するやり方が現実的です。重要なことは、「意味のない、役に立つ入力項目を作らない、減らす」ことです。これを徹底しましょう。
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“紙を使わなくていい仕組み”を現場と一緒に作る
たとえば、写真で記録する/バーコードで読み取る/音声入力を試すなど、入力負荷を減らす工夫は意外とたくさんあります。こういったアイディアは是非ITベンダーに聞いてみてください。色々なソリューションを紹介してもらえると思います。
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「データが集まれば便利になる」体験を現場と共有する
現場が「自分の入力が役に立っている」と実感できれば、運用が継続されやすくなります。可視化の工夫やフィードバックが鍵です。データ収集がなぜ現場の役に立つのかを分かりやすく説明してください。
現場には“紙とExcel”が最適だったという現実
紙やExcelが残っているということは、「現場が今、何に困っているか」を知るヒントでもあります。
「導入失敗」ではなく、「改善の種が見つかった」と前向きに捉え、現場とともに使いやすくしていくプロセスこそが、成功するデジタル化の第一歩です。
いかがでしたでしょうか?紙やExcelが悪いのではなく、その使い方や、現場の理解促進が甘いことが問題であることを理解いただ けたかと思います。
次回は、IT人材が社内にいない中で、どのように外部ベンダーと関係を築けばよいのか?「丸投げ」が失敗を招く理由と、成果を出すための“伴走型支援”のあり方をご紹介します。
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