「どうするAS400」
第1回:オフィス業務の生産性を考える
このブログシリーズでは、AS400の現状と将来の選択肢について詳しく解説することで、読者の皆様が適切な決断を下すための助けとなる情報を提供します。各章では、具体例や実践的なアドバイスを交えて、AS400の維持、延命、リプレイスの方法を探ります。クラウドや生成系AIなどの最新技術の導入による業務効率化の可能性も視野に入れ、長期的なIT戦略を構築するための参考になる内容を目指しています。本日はまずAS400のおさらいと、現在AS400を使うことのメリットとデメリットに触れていきます。
第1章: AS400とは何か
AS400(IBM iシリーズ)は、IBMが1988年に発表したミッドレンジコンピュータシステムです。AS400は、特に中小企業向けに設計されたシステムであり、その信頼性、高可用性、およびスケーラビリティから、多くの企業で長期間にわたって使用されています。
AS400の基本概念と歴史
AS400の開発は、シンプルで使いやすいシステムを提供することを目指して行われました。オペレーティングシステムであるOS/400(現在のIBM i)を搭載し、ソフトウェアとハードウェアの統合アーキテクチャを採用しています。これにより、システム全体の一貫性とパフォーマンスが確保されています。
IBM iシリーズは、AS400の後継機種として進化してきました。1990年代にはIBM eServer iSeriesとして知られ、2006年以降はIBM System iとしてブランド名が変更されました。そして現在、IBM Power Systemsとしてさらなる進化を遂げています。
AS400がカバーする業務範囲
AS400は、以下のような多岐にわたる業務で利用されています
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財務・会計システム:
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信頼性の高いデータ処理能力により、財務報告や会計処理がスムーズに行えます。
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在庫管理:
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在庫の追跡と管理が効率的に行えるため、多くの製造業や小売業で利用されています。
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人事管理:
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従業員情報の管理、給与計算、勤怠管理など、HR業務全般をサポートします。
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顧客関係管理(CRM):
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顧客データの管理と分析により、マーケティング活動や販売プロセスを最適化します。
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様々なバージョンの特徴
AS400のバージョンは、進化とともにさまざまな機能が追加されてきました。以下に主要なバージョンの特徴を紹介します
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初期バージョン:
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シンプルな操作性と高い信頼性を提供し、中小企業に広く採用されました。
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IBM eServer iSeries:
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インターネット技術との統合を強化し、Webベースのアプリケーションをサポートしました。
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IBM System i:
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高度なセキュリティ機能とスケーラビリティを提供し、大規模な企業でも利用できるようになりました。
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IBM Power Systems:
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最新のプロセッサ技術を搭載し、クラウド環境との統合が可能になっています。
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AS400は、その堅牢な設計と長寿命により、今でも多くの企業で使用されています。しかし、最新の技術やニーズに対応するためには、システムのリプレイスやアップグレードが必要となる場合もあります。この点については以降のブログで紹介していきます。
第2章: AS400を今も使っていることのメリットとリスク
現在もAS400を使用している企業は多く、その信頼性と堅牢性を評価しています。しかし、技術の進化に伴い、いくつかのリスクも存在します。ここでは、AS400を継続して使用することのメリットとリスクについて具体的な事例を交えて分析します。
AS400のメリット
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高い信頼性と可用性:
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AS400は高い信頼性を誇り、システムダウンのリスクが低いため、業務の継続性が保証されます。
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多くの企業がAS400を使用している理由の一つに、その堅牢な設計があります。例えば、ある製造業の企業では、AS400を20年以上使用し続け、ほぼダウンタイムなしで運用している事例があります。
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スケーラビリティ:
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AS400は企業の成長に応じて容易にスケールアップが可能です。新しいハードウェアを追加することで、システム全体のパフォーマンスを向上させることができます。
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ある流通業者では、ビジネスの拡大に合わせてAS400のリソースを拡張し、システム全体の効率を維持しています。
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統合性:
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AS400は、さまざまな業務アプリケーションを一元管理するための強力なプラットフォームです。ERP、CRM、財務管理などのアプリケーションを統合することで、データの整合性が保たれます。
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金融業界の企業では、AS400を用いて複数のシステムを統合し、リアルタイムでのデータ分析を実現しています。
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AS400のリスク
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技術的な老朽化:
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AS400の技術は数十年前のものであり、最新の技術やアプリケーションに対応するのが難しくなっています。これは、システムのアップデートや新しい機能の追加が困難であることを意味します。
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例えば、ある製造業の企業では、AS400上で動作する古いアプリケーションが新しいビジネス要求に対応できず、業務効率が低下しているという問題に直面しています。
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人材の確保が難しい:
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AS400に精通した技術者の確保が困難になっており、システムの維持管理が困難になっています。特に若い世代の技術者は最新の技術に興味を持つ傾向が強く、AS400に関する知識を持つ人材が少ないです。
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IT業界のある企業では、AS400のメンテナンス要員の確保が難しく、システムの安定運用が脅かされる事態に陥っています。
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コストの増加:
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古いシステムの維持には高いコストがかかります。部品の入手やサポート契約の更新が年々難しくなり、運用コストが増加しています。
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例えば、ある流通業の企業では、AS400の保守費用が高騰し、コスト効率の悪化が問題となっています。
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いかがでしたでしょうか。AS400を使用し続けることには多くのメリットがある一方で、技術の老朽化や人材確保の難しさ、コストの増加といったリスクも存在します。次回のブログでは、AS400を最新のシステムに変更することのメリットとリスクについて詳しく見ていきます。
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